私の好きな本のひとつに、群ようこさんの「働かないの」という一冊があります。
この本は同氏の「れんげ荘」という本の続きです。

この本の中に出てくる主人公の「キョウコさん」は、45才の時にそれまで高給取りだったOLさんから一転、「れんげ荘」というおんぼろのアパートで、働かずに貯金だけで暮らすという、のんびり気ままな人生を選んだ素敵な女性です。

預金生活者と言えば誰もが羨むお金持ちのリタイア組というイメージがありますが、キョウコさんは1ヶ月たったの10万円で綱渡りのような暮らしをしていて、彼女はそんな毎日をとっても楽しんでいます。

人から見ればのんきで気ままに見えるかも知れないキョウコさんですが、人と比べて自分を卑下しそうになっても、いろいろと考えすぎないように気を付けたり、おんぼろのアパート暮らしを好奇心で見る人、それからお金や有名な会社、立派な家に執着する母親のような人と関わらない生き方を自ら選択して暮らしているのです。

少しのお金と少しの物、少しの人間関係の中で、こころもからだも誰にも縛られず、「今日もいい天気だなあ」とか思いながら暮らすキョウコさん。
これって、人目を極端に気にする日本人には働くよりもずっと難しい選択ではないかと思います。
 
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私もキョウコさん程ではないけれど、休職するまでは多忙な日々を送っていて、その頃の夢は「お金持ち」ではなく「時間持ち」になることでした。

般の人には、働くことと働かないことに対して選択の余地がない(特に日本では)と思いますが、脳疾患にひとたび罹患してしまった人間にとってその後の生き方の変更は、とても人には言えない苦しみを伴います。

私は達観したつもりの今でさえ、にどうやって説明したら理解してもらいやすいだろうかと悩みます。解ってくれればラッキーだけど、別に理解してくれなくてもそれは当たり前のコトだからと言い聞かせているのにもかかわらずです。

都会で余計な人間関係に関わらず、人ごみに紛れて暮らしている私でさこんなに悩むのですから、人の目をいつも気にしていなければならない地方在住の方達にとって「働かない選択」というのは相当難しいのではないのでしょうか。

キョウコさんはいろんな意味で私にとって憧れの女性です。
そして私も今は少しだけキョウコさんに近づいていると思います。

キョウコさんは知っています。
人が本当に必要な物はそれほど多くはないということを。
失いたくない物はひとそれぞれですが、無ければ無いで済む物がこの世には溢れているということも。

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