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冬期に不調が続く季節性障害(冬季うつ)という症状がある。うつ状態が続き外出も困難で、布団から出ることすら辛く家に引きこもってしまう。また食欲が出る場合があり、特に甘いものを強く欲するようになったりと、あまりうれしくない症状が続くのだが、これは日照時間が関係しているようで、ノルウェーなど極夜のある地域で多く見られる症状なのだそうだ。

私は冬が怖いので、毎年秋が訪れる頃から覚悟を決めなければならない。生活になるべく支障をきたさないよう、早め早めに準備をする。冬に出来るだけ外出しなくて済むように、冬前までに済ませられそうな用事をこなしておいたり、暖かい衣類を調達したり。薬の調整なんかも先手を打っておく。



余裕のある時は、体調を崩す冬になる直前くらいに日本を飛び出して、暖かい国で過ごすこともある。昨年がそうで、秋の終わりの気分が沈みかける時期、強烈な陽射しのあたる国へと旅立った。

冬になってしまうと動けなくなってしまうので、その直前に出発するのが理想だ。春になるまで常夏の国で過ごせればもちろん良いのだが、毎年冬中過ごせるほどの余裕はさすがになく、昨年は数週間だけ南の国に滞在した。

冬直前のほんの数週間の滞在で、冬の体調がぐんと良くなることが多い。しかしそれは必ずとは言い切れないし、気持ちの問題というのも大いにあると思う。プラセボ効果のようなものなのかは分からないが、冬に寝たきりにならずに済むのなら、なんだっていい。

そう、結局はなんだっていいのだ。気分が落ち込まない方法があるなら。それが薬だけでコントロール出来るのなら飲めばいい話だし、光療法が効果があるならそれでもいい。運動が効果的だという意見もある。

ある本に書いてあったのだが、うつ病と診断された人達を3つのグループに分けて、1のグループには抗うつ薬を、2のグループには抗うつ薬と運動、3のグループには運動のみを行ってもらったところ、数ヶ月後にうつの再発率が一番少なかったグループは、1と2ではなく3の運動のみを行ったグループだったのだそうだ。

抗うつ薬と運動を併用したグループより、運動のみを行ったグループの方が再発が少なかったのは驚きだ。


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双極性障害を持つ人達にとって、再発の予防の為に何があっても欠かせない気分安定薬を服用するのは必須である。そこは絶対に間違えてはいけない。そしてそのことを前提で、個人的な思いを書きたい。

脳に限らず体の病気のある人の中で、精神疾患の患者ほど薬の力に治療の全信頼をおく人達はいないのではないだろうか。全信頼をおく、というのはつまり薬物治療のみに頼り切っているという意味で、まるでそれ以外に治療法がないと思い込んでいるという意味である。

自分の考えを強制しているのではもちろんないが、「薬を飲んだらあとは神頼み」というのは治療に非協力的な患者がすることだと私は思う。

私達に出来ることは「服薬を怠らないこと」それだけはない。

当事者自身のセルフケアの中で、服薬が一番なのは当然のことだが、セルフケアとはそれだけではなく、自分で出来ることでとても効果がある大切なことは、社会リズム療法にあるように「生活習慣を整える」ことだ。

毎朝同じ時間に起きて日の光を十分浴びる、食事の時間、活動する時間、一日の生活リズムを整えるのはとても大事なことだと、社会リズム療法の本を書いている医師は唱えている。


そんなの知ってるよ、当たり前だよ、と頭の中では分かっていても、意志を持続させて行動を継続するのがとても難しいのは、私自身もよく分かっている。

ただ、本人不在の治療は成り立たないはずであり、また医師は神様ではないので、病気のついでに人生の悩みまで治してくれる便利な存在でないことも、当事者は理解すべきだ。


自分の病気の治療に自分が非協力的でどうするんだろう。良くなりたいという気持ちが少ないのか、もう自分なんてどうなってもいいと思っているのか。

体が辛くても、自分で行動しなければならないくらいなら、もらった薬をただ飲んで寝逃げすればいいと、投げやりな気持ちになっているのだろうか。


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朝早く起きることも、生活のリズムを崩さないことも、運動までは辛くて出来なかったとしても、日常生活の中で自分の役割を果たすことも、それ自体が治療であり、服薬の他に自分自身でコントロール出来る、言い換えれば自分自身が治療に参加出来るのが、セルフケアなのだ。


そして最初の話に戻るのだが、私はとにかく冬が怖い。
薬だけではどうにも乗り越えられないからこそ、無駄かも知れないいくつもの対策を考えて、毎年試行錯誤している。

その中で考えたアイデアのひとつが、冬直前に南の国へ逃亡することであり、それが私の趣味を兼ねたセルフケア、究極の光療法なのである。