先日、作家のカズオ・イシグロさんがノーベル文学賞を受賞したとの一報がニュースで伝えられた時、教養のない私は「誰その人?」とソファーで変な格好をしながら首を傾げた。

そのニュースを観ながら、すぐに近所の図書館のホームページでイシグロさんを検索し、彼の本を片っ端から予約することにした。

代表作などは、その時点では10数番待ちで当分手に入らなそうだったが、それらの作品のうち1冊だけ順位が1番ですぐに手にすることが出来た。


「受賞以前はこれらの本は、予約せずとも普通に借りられていたんですよ」

と受付の人が言う。


2001年に発行されたとあるが、手にしたも本はまったく折り目がなく新品のようにとても清潔だ。


「そうなんですかあ、今じゃ数10人待ちですもんねー」

と話を合わせるように答えると、受付の人が「何言ってんの?」という顔つきで、


「数10人どころか数100人ですってば!」

と私を見上げて大げさに言った。


普段私は、Amazonのkindle unlimitedか図書館を利用して本を読んでいる。

空いている一部屋に大きな本棚を置いて、図書室にしたいという夢が昔からあるにはあるのだが、本は生き物のように増殖するものだし、いつか引っ越す時のことを考えると、なるべく買わずに読み終えたら返せるこれらのふたつのサービスを利用するのが今の私には現実的だ。

この本は今大人気なので予約者が多数いるため延長が出来ない。手元には先に借りていて、まだ手をつけていない本が2冊ある。

2週間で読み切れるか心配になっていたところ、翌日隣の地域の図書館から同じ本の予約確保メールが届いた。

受付の人が「数100人待ちですってば!」と興奮がちに説いた本を、2つの地域の図書館で予約1位であっさり借りられてしまった。なんかラッキー。

私とカズオ・イシグロさんは実は相性がとても良いのかも、と私も受付の人のようにちょっとだけ興奮しながら本を受け取る。


返却日があるのでゆっくりじっくり読むのは難しいけれど、しばらくの間カズオ・イシグロさんの本の世界を堪能するのが楽しみでならない。


カズオ・イシグロ

わたしたちが孤児だったころ